白雲谷温泉の泉源は小野市の依頼により、市南部を走る山崎断層系の三木断層に付随する断層を平成10年探査し、掘削位置、 掘削深度を決め、平成11年12月に1,300m掘削した。平成12年9月4日温泉出場式が行われ、現在ゆぴかの湯として利用されている。
湯は地下1,000~1,300mあたりの中生代生野層群(今から1億年に近い年代ごろの流紋岩質溶結凝灰岩)の地層から湧出している 優秀な療養泉である。兵庫県衛生研究所の温泉分析(分析書は平成12年7月17日発行されている)によると、温度26.0℃、汲み上げの 湯量183L/分、溶存物質10.2g/Kgのナトリウム・カルシウム-塩化物低温泉(古い温泉名では岩塩化土類食塩泉)の療養泉との 評価を得た。
この温泉は太古の海水の塩分を含んでおり、その他に、断層深くからの成分カルシュウムイオン、炭酸水素イオンなどの成分が含まれている。
日本の温泉の源泉約24,000内の約3割がこの食塩泉であり、有名な温泉では、城崎、有馬(兵庫県)、湯原(岡山県)、皆生・東郷(鳥取県)、 芦原(福井県)、片山津(石川県)、白浜(和歌山県)、熱海(静岡県)、塩原(栃木県)、四万(群馬県)などが代表的なものである。
この湯は緩和性のある泉質で、高齢者の入浴に適し、病後の回復によい効果がある。慢性的な関節痛、筋肉痛、神経痛、冷え性、 打ち身、健康増進、慢性皮膚病、慢性婦人病など多くの病にも効用がある。この温泉は浴後に皮膚に塩分が付着して、汗の蒸発を防ぐため、 保温効果がよく、「温まる温泉」あるいは「熱の湯」と呼ばれている。
平成12年8月出湯式のときの文章を平成18年2月に書き加えました。
NPOシンクタンク京都自然史研究所理事長
京都大学名誉教授 理学博士 西村進
NPOシンクタンク京都自然史研究所理事
理学修士 赤松信